節電対策
独立行政法人産業技術総合研究所が2011年6月15日に次のような発表をしている。計画停電と空調節電対策についてシミュレーションを行った結果の速報だ。その中に打ち水の効果が評価されている。
「小規模な打ち水を朝夕の時間帯に実施すれば、蒸発潜熱を増加させ、また水蒸気も拡散されるため、局所的に温熱環境を和らげます。
しかし、13時に道路面積1m2あたり1Lと大規模な散水を実施しても、節電効果はほとんどないことが分かりました。気温を平均0.6度下げる一方、相対湿度を平均9.6%上げました。湿度の上昇(13:10)が気温の下降(13:20)に先行するため、最大電力需要はわずかに増大しました。
これは、昼間の大規模な打ち水は、大きな蒸発を招く一方、水蒸気が拡散できないためと考えられます。」
な〜んだ、こんなシミュレーションは小生が8年も前に鉛筆を舐めた程度のものだ。2003年8月23日付け当フォーラムのコラム「百万人打ち水大作戦」をご覧いただきたい。
お忘れかも知れないが、当時、環境ブームが盛んで「百万人打ち水大作戦」と称するイベントが東京などで盛り上がっていた。新聞いわく、
「1平方メートルあたり1mmの打ち水で、どれだけの効果があがるかを正確に述べるのは、ケースバイケースなので難しいですが、 地上気温を2度以上は下げられるのではないか と予想しています。温度が2度下がった場合、三菱総研による時刻別の気温感応度の結果から試算すると、 4%程度最大電力を削減 が期待されます。」
小生の鉛筆はこう結論を出していた。
「極めて単純かつ大雑把に考えてみた。30度・60%の気温・湿度のところに、1平方メートルあたり1mm(1000g)の打ち水をして、極めて短時間に1000gの水蒸気ができると仮定すると、これは地上60mまでの空気を2度下げる代わりに湿度を70%に押し上げる。不快指数としては余り変わらない結果となりそうだ。
それにクーラーの電力消費量が減るという考えは誤りだ。クーラーは気温が下がった空気で減った電力を湿度を下げるために余計な(理論的には同量の)電力で消費する。」
当時の専門家で打ち水に水を差したものはいない。所詮専門家(評論家、コメンテーター、知ったかぶりの芸能人(以下略))というものはこんなものと考えておいた方がいい。原子力においても然りである。世のブーム(雰囲気)に迎合した意見しか言わないものたちがテレビや新聞に出ている。故人はこれを世論というと言っている。