建築着工統計を基にした不動産協会の推計によると、現在日本には約500万戸の集合住宅があり、2年後の2010年には30年以上を経たマンションが100万戸を突破する。鉄筋コンクリートのマンションは30〜50年が耐用年数と言われており、あと数年経てば毎年のように10万戸以上のマンションが次々と「寿命」を迎えることになる。
高齢マンションというと、高齢者のためのマンションと誤解される懼れもあるが、ここでは概ね30年以上を経たマンションを「高齢マンション」と呼ぶことにする。高齢マンションには老朽化マンションが多いが、必ずしも老朽化マンションと同義ではない。
そもそもマンションとは何か。『マンションの管理の適正化に関する法律』ではマンションとは「二以上の区分所有者が存する建物」で、「人の居住の用に供する専有部分のあるもの」となっているが、上記の不動産協会の統計で定義されたものは「3階建て以上」「鉄筋コンクリート造、鉄骨造または鉄骨鉄筋コンクリート造」の「分譲集合住宅」ということらしい。こちらの方が我々にとってなじみのある一般的なアパート・マンションと見ていいが、いずれも全棟単一所有者の賃貸マンションや社宅・官舎などは含まれない。
前置きが長くなったが、100万戸を超す高齢マンションがわが国に存在してこれからも増え続ける結果、その対応をどうするかは21世紀の社会的問題である。その現状をこのシリーズで紹介しながら筆者自身の考えも整理していきたいと考えている。途中で紆余曲折、主張、事実認識、前後の矛盾が生ずるかも知れないが大目に見ていただきたくあらかじめお断りしておく。
「高齢マンションはなぜ問題なのか」
一つにはコンクリート構造物の物理的な耐用年数という問題がある。コンクリート構造物は半永久的に強度が保てるものではなく劣化のメカニズムが存在する。それは生成時にアルカリ性であったコンクリートが大気に晒されて表面から徐々に中性化される結果、アルカリで守られていた鉄筋が酸化を始め、錆が出ることで鉄筋の体積が膨張し、周りのコンクリートを砕いて強度が落ちるというメカニズムである。この現象を遅らせるにはコンクリートと大気を遮断するか、表面から奥深くに鉄筋を設置する(被り厚を増やす)ことが有効であり、最小被り厚については建築基準法で規定されている。
また、別の問題として適切な管理を行っていないために、外壁の劣化や設備の老朽化が進み、住宅としての機能を危ぶむマンションが増えていく傾向が見られる。これは所有者の管理・運営上の問題であるが、年数が浅いマンションに比べ高齢マンションは一層その傾向が強い。
(つづく)