高齢マンションへの対応は二通りある。
一つは大規模改修を行って、通常の修繕以上のコストでマンションの機能を新築並みへの向上を目指す方法と、これ以上の手当をやめて建替えを目指す方法である。
我々が第一に考えなければならないことは当然ながら前者の方法である。仮に検討の結果、改修に利がないこととなったにしても、建替えに梶を切るための合意を得る上でこの検討は重要な根拠となる。
大規模改修で最大の懸案は耐震改修であろう。建築基準法で耐震基準が大きく変わったのは昭和56年、1981年。これは今から27年前のことなので築30年以上を経た高齢マンションは現行基準の耐震性能を満たしていない可能性が高い。この調査だけで100戸程度のマンションでは数百万円の費用がかかると言われている。
調査の結果、耐震改修が必要となった場合は(大抵必要だろう)、改修の方法次第で1戸あたり百万円以上かかるという事態もあり得る。地方自治体には補助制度があるが、期待するほどの額にならないし自治体の懐具合にもよるので制度があっても思い通りにはならないかも知れない。何しろ小中学校の耐震改修すらままならない財政状況の自治体が多いのだから。
なお、昭和51年以前に造られた中古マンションの売買にあたっては、宅建業法の規定で、耐震診断をしているかしていないか、していればその内容(耐震性能)を重要事項として記述しなければならない。社会的に見れば意義のあることだが、所有者にとってはみすみす売りにくくなる耐震診断をしたがらない理由となっている。
隠し通していても買い手も勉強しているので、耐震診断のない古いマンションイコール耐震性能が足りないマンションとうすうす感じ取ることだろう。古いマンションの所有者は売って逃げるか、腰を据えて改修または建替えに突き進むか、待ったなしの決断が迫られているのである。