国債
今回の選挙は民主党の圧勝で終わった。今後の国づくりがどのように進むか、現時点ではこの半世紀で初めての本格的な政権交代に期待と不安がない交ぜになっているところといっていいだろう。選挙期間中に争われたマニフェスト(文書、演説)を評価して国民は政権を選択したことになっているのだが、マニフェストに書かれてないからといって民主党に期待することができないわけではあるまい。
筆者が気になる問題(のひとつ)は国債の処理である。財務省のホームページには四半期ごとの借入金残高が公開されている。最も新しい情報は2009年6月末現在であるが、国債とその他の借入金を併せて860兆円になっている。これは赤ん坊も含めた国民一人あたり670万円(67万円の間違いではない!)、三人世帯で言えば2000万円である。
一方厚生労働省によると2008年世帯あたりの貯蓄額が1143万円で、三人世帯の数字ではないが近似的にはほぼ1200万円に相当する。家族でこつこつ貯めた貯金は政府が作った借金に追いついてない。仕組みの上ではこの借金は現世代が積み上げ、その金で道路や公共施設、軍事、教育が賄われている。我々はまことに分不相応な贅沢をしたものだ。
確か「財政再建」というかけ声がつい最近まであったような気がするが、どうなったのだろう。財政再建とは借金をしない収支構造を早く作り上げることと理解している。また借金の処理=返済も再建の目的である。
で、民主党のマニフェストだが、文中に「国債」の言葉は一言もない。つまり今度は民主党が自民党に代わって借金を積み上げる番だと言うことだ。しまったと思ってももう遅い。実は自民党のマニフェストにも一言も「国債」という言葉はない。借金の返却や財政再建は今回の選挙では争点ではなかったのだ。こんな重要なテーマが争点になっていないことをマスコミは国民に知らせてもいない。マスコミは文書の行間・背面を読む力などないものと察せられる。
自民党に愛想を尽かしただけでなく、政治家や官僚とともにマスコミにも愛想を尽かさなければいけない。国民を背中から叱咤して戦争に導いたのは軍人や政治家だけではなかった。