民主党政権になって、住宅エコポイント制度が話題になっているが,この新鮮味と政策効果はどうなのだろうか。
新鮮味としては、住宅・建設部門に焦点を当てたという意味で新しさがあるが,平成20年度環境省のエコ・アクション・ポイント、21年のグリーン家電普及促進事業によるエコポイント、環境対応車普及促進税制(いわゆるエコカー減税)、太陽光発電システム補助金制度などの延長線上にあり,民主党ならではの政策というわけではなく新鮮味・独自性は薄い。
そういえば,自民党政権の批判材料として定額給付金の交付制度があったが,エコポイントはどうだろうか。
これについては夙に昨夏、立命館大学教授の佐和隆光氏が「ケインズ主義的財政金融政策の効能は、発展途上諸国のそれに比べて、はるかに乏しい。理由は明らかである。耐久消費財はほとんど普及し尽くしており、買い替え需要しかなくなっているからだ。そのため、定額給付金であれエコポイントであれ、それらの個人消費支出刺激効果はきわめて乏しいのである。公共事業にしても、全国津々浦々、鉄道、道路、空港が整備されたいまの日本では、公共事業をしようにも、有意味なものは思い当たらない。」(ダイヤモンド社『経』2009年8月号)と述べている通りであり,アメリカでも自動車買い換え支援制度が終了した途端に販売台数減少のリバウンドが起こり、この制度が一時的な景気刺激策以上のものではないことが明らかになっている。
住宅エコポイントのキモは住宅の省エネ化であり,これは長期的かつ効果的に取り組むべき政策アイテムである。そのためには技術的基準の策定と同時に確実な施工を行政なり第三者が管理するシステムとなっていなければならない。建設業者でもなく,技術基準の知識も不足しがちな自称デザイナーなどのリフォーム業者が自由に参入している業界では、悪徳業者の跋扈を許す余地があると指摘されても仕方があるまい。(「ちょっと待って、住宅版エコポイント」『日経ケンプラッツ』2010.1.28)
今回のやり方は緊急対策とはいえ,いかにも準備不足で周知徹底に欠ける憾みがある。また、先のことは分からないにせよ時限的政策であり、長期的な展望を必要とする住宅建設や取得計画との整合性がなく、個人の購買行動を乱す要素にもなり得る。特にマンションのリフォーム・断熱改修という区分所有者の長期修繕計画に則った合意システムの中では、省エネ改修を(多くは窓と外壁の断熱改修であるが)前倒しで実行できるような管理組合は多くはないだろう。逆にこの政策を10年間は継続すると宣言することで,より的確にマンションの維持管理計画が立てられるのではないだろうか。民主党にはこのようなカネより頭を使った「口先介入」こそ望まれると言えるのではないだろうか。