| 5月19日の『日経新聞』1面トップ記事によると、今後の宅地需要が3分の2に縮小し、2010年度までには相当の供給過剰になると国交省が試算している。新規の需要が減少するのは人口が減って住宅が余っているという背景がある。しかし、既に建てられた一戸建てやマンションの健康状態はどうだろうか。
古い記事をめくると昨年の7月29日付『日経新聞』で「高齢マンションの憂鬱」という特集があり、建築後30年を越え老朽化が懸念されるマンションは10年後に約100万戸に達する見通しということだ。ここで特筆すべきは30年を越えると老朽化と見なすことを当然と考えていることである。老朽化の問題は早くから予測できていたはずで、木造住宅並みに壊して建て替えればいいと専門家を含め多くが多寡を括っていたのではないか。
本当に30-40年経ったら建て替えなければいけないのだろうか、またそれは簡単なことだろうか。多くの議論は前者はイエス、後者はノーと言っている。すると、これからは毎年毎年、建て替えなければいけないにもかかわらずそれができないマンションが増え続け、多くの個人が不良資産を抱え込んだまま身動きがとれない状態になるということを示唆している。身動きがとれないのは多くの場合ローン(借金)を持っている、または高齢で次のローンを手当てすることができないからである。
せめて建物が健全でさえあれば、というささやかな期待(そして最も重要な点)がここでは見事に打ち砕かれている。コンクリートの建物は100年くらい保つだろうと誰もが期待していいはずなのに日本でそれができないのはなぜか。ヨーロッパだけでなく大量生産大量消費国の元祖と思われているアメリカですら、コンクリート住宅は軽くその程度の年数以上に使用されているのだ。
老朽化といっても物理的な側面と経済的、あるいは文化的な側面があり一口で問題の解決を図ることは容易ではない。しかし物理的に使用可能か(そのような建物を造っているか、そのように管理しているか)どうかが大前提であり、あれやこれやの前にまず技術的な事項に限れば議論も行いやすいはずである。
牽強付会に見えるかもしれないが、外断熱が多くの利点の一つとして揚げている建物の長寿命に寄与する点からも、国を挙げて(つまり国交省が)早急に新築・改築に適用させる手を打つべきではないだろうか。社会構造を省エネ・資産(ストック)形成にシフトすることには一刻の猶予も許されないはずである。(マスコミ的言い方ではあるが) |