「日経新聞」2003年3月6日付け「デフレが蝕む」シリーズのタイトルである。
土地神話に支えられた持ち家志向が成立しなくなったことを端的に言い表している。デフレにより一世帯あたりの名目所得が1998年から減少に転じたが、所得が減ってもローンは減らず家計を圧迫している。資産と思って買った住宅が不良資産化している現象である。銀行やいくつかの企業の不良資産には借金の棒引きがあっても個人の不良資産には救いがない。
そのような状況の中、ここに来て賃貸住宅に人気が出てきたという。マイホームを買わなければ家計に負債も持ち込まず、ライフスタイルや懐具合に応じて自由に引越も可能である。一男一女で住宅の数も満ち足りていればマイホームを買う指向が衰えるのは当然かも知れない。
賃貸住宅の供給が増えてくると自ずから分譲住宅の価格にも影響を及ぼす。持ち家に資産価値がないのなら単純に賃貸住宅とどちらが得かで判断できる。実際この新聞記事では住宅を買ってそれを賃貸に回した時に賃料の利回りが年5%になるかどうかが目安だと言っている。ざっくり言えば、住宅の価格は年間家賃の20倍が目安と言うことだ。
記事はこの現象を悲観的には書いていない。住宅の住み方に選択肢が増えたとも言え、中古住宅であっても住まいとしてきちんとしていれば価値が落ちないことにもなる。使い捨てではなく、手を加えながら長期にわたり維持するという、古くからの教えに従うことが大事な考えのようだ。 |