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正しい外断熱
2003.11.19

 外断熱に正しいも正しくないもあるのかというと、あるのである。

 本題に入る前に、木造住宅の断熱草創期に発生した失敗例をご紹介する。七十年代初め石油ショックのあと、住宅の断熱化が進行し、戸建て住宅では北海道が先行した。道内の工務店は競って断熱材を入れ始め、それは次第に厚くなって各社が効果を喧伝するようになった。ところが思わぬ落とし穴にはまってしまったのである。

 それが「ナミダダケ事件」。壁や床下に入れた断熱材が湿気を含み、結露が起こり、春になってもじめじめしたままでキノコが生え、木材が腐ってしまったのだ。新築後わずか二〜三年で建物が朽ちてしまう恐ろしい事態に困惑した工務店や研究所は解決策を模索したが、北欧のやり方を見習った江本央氏の提案といわれる通気層工法の採用でようやく「正しい木造断熱工法」に行き着いたのだ。今では公庫の標準仕様書にも明記されている。

 原理は水蒸気の動きを正確にとらえて、水蒸気を遮断するか、入り込んだら速やかに排出することに尽きる。この原則を間違いえないことが重要であって、通気層はその解決策の一つであった。

 本題のコンクリート外断熱の話に入る。草創期である現在、さまざまなRC外断熱工法が提案されている。断熱工法は一見すると「なんだ簡単なことじゃないか」と思わせてしまうが、木造の失敗で学んだように技術的には奥が深い。外断熱は日本でこそ目新しいが世界に目を向けるとすでに完成された工法である。理論的な裏付け・結果の観察など多くの経験と試行錯誤が欧米で重ねられてきた。失敗もたくさんあった。

 例えば密着型の外断熱工法の場合、我が国ではコンクリート打ち込み工法と後張り工法があるが、打ち込み工法は以下の点で懸念が残る。一つはコンクリートの打ち込み状態を確認しにくい、これは断熱以前にコンクリートの品質の問題でもある。また断熱材と仕上げ材料に水蒸気を逃がしにくいものが使われていることが多い。これは上記原則に反する。たとえEPSを使っていても品質・等級によって透湿性能に差があるから材料名だけで安心することもできない。それ故か欧米では外断熱を兼ねたコンクリート打ち込み工法は見られない。

 建物の欠陥で困るのは最終消費者(発注者・購入者)である。言いにくいことだが、建築に限らず専門家で知識・技術・経験に乏しい人間はどの分野にもいる。自衛策としてせめてセカンドオピニオンを求めてはどうか。聞くだけなら只、というわけにはいかないだろうが、不動産の価格と秤にかけたら躊躇うこともあるまい。