先月ひょんなことから初めてベルギーを訪れる機会があった。一般のパッケージツアーに混じってベルギーの6都市を巡る旅だったが、そこは外断熱への関心もありできるだけ建物の構造にも目を向けて楽しんできた。
ベルギーはフランス、オランダ、ドイツ、ルクセンブルグに囲まれた九州より小さな国であるが、中世はヨーロッパの表舞台にたびたび登場しており、世界遺産に指定されている都市・建造物も多い。各都市の中心部には中世の建物が櫛比しており、全てがそのまま中世のものではないにしても、旧城郭内一帯で多くの建物が過去の姿に復元され、町並みの統一振りは日本の「歴史的町並み保存区域」などより遙かに徹底している。
そこでもいくつかの改装工事を見かけたが、中にはファッサードの壁1枚だけを薄皮のように残して内側は全くの新築中という現場もあった。このケースでは高さ25m位、厚さ2-30cmほどの表層(石造)を切り離し、それを鉄骨で支えながらの工事であったし、ブリュッセルの西、数10kmのところにある古都ゲントの運河沿いでは、マリオットが4棟の建物をあわせて同様の方法でホテルに改造中であった。
ところで、断熱対策はどうなっているかを見ると、上記のように表面が石または煉瓦の場合は、新たに作った内部の構造体であるコンクリートとの間にロックウールなどの繊維系断熱材を100-200mm挟み込み外断熱を実現している。この方法はヨーロッパ各国に共通していると言ってよいと思う。(右の写真は新築で外装が煉瓦)
話が飛躍するようだが、鉄とガラスに始まった近代建築の「のっぺらぼう」なデザインにくらべ、「過剰な」装飾が施された建物は明らかに都市の記憶とアイデンティティを強く主張している。言い換えれば霞ヶ関ビルよりも東京駅の外観の方が愛着と親近感を持ちやすい。今後外断熱によって建物の長寿命化が図られるようになると、時間に耐えられる(装飾も含んだ)デザインも重視されるだろう。新築時の予算はエレメント(要素・部材)の寿命に応じて配分したい。内装や設備はあとで何度も取り替えられるパーツに過ぎない。 |