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無惨な外壁の一流ホテル
2004.5.5

 都心に建つ、ランクや評判もトップレベルの高級ホテル、設計者や施工者は超が付くほどの一流。にもかかわらず築後30年も経たないのに外壁の補修跡が痛々しい。補修跡から推測するとこの外壁はコンクリートのプレハブ(いわゆるプレキャストコンクリート略してPC)と思われる。工場製作だから圧密で水分調整も完璧なコンクリートに相違ないのだが、それでもこの年月、毎日毎日昼夜の温度変化と日射に晒されクラック(ひび)が生じたのだろう、みみず腫れのような補修跡がそれとわからぬようにしたつもりだろうが、もはや肉眼でも明らか。材料の風化は歴史を窺わせるがコンクリートのクラック跡では見苦しい。

 タイル張りや石張りあるいは金属で被せた仕上げならこのような「欠陥」は見えにくい。しかし、その中のコンクリートは本当に大丈夫だろうか。以前にも書いたがタイルや石の目地からは専門家の誰もが知るように雨水の浸入は免れない。一旦その道筋ができると次第にコンクリートの鉄筋を錆びさせ、膨張を起こし、コンクリートの爆裂を招く。ためにタイルや石が剥離する。一見何気なく見える外壁の内側は時限爆弾のような危険を抱えている。

 毎年補修費をかけるくらいなら、外断熱改修をお奨めする。適切な施工で断熱材がコンクリートを守り、雨水の浸入を遠ざける。コンクリートは室内温熱に同調し、年間で数度も変化しないことだろう。クラックの発生要因を容易に取り除く。曲面でもEPSの断熱材なら施工は可能、モールディングを施せば壁面の表情も面白い。軽量で重量が殆ど増さないので構造上の問題が起こることもない。ラスベガスの並み居るホテルは全てが外断熱の外装材だ。日本にあったデザインさえ工夫すればホテルには最適の材料といえないか。

 業界の動きの一端をこの機会にお知らせする。国や地方自治体が次々と公営住宅の外断熱による改修を進めている。ある大手のゼネコンも外断熱の採用を打ち出した。99%が内断熱で作られてきたこの国で、いよいよ外断熱が海外と同様の基準で動き出した。関係者の努力でようやく見に見えるうねりが始まったのだ。同慶の至りである。