| 『日経アーキテクチャ』2004/7/26日号で「外断熱の普及は『優位性の実感』から」(通気・密着・乾式・湿式でここが違う)。という記事を掲載している。
冒頭で外断熱に対する注目度の拡大についての記述がある。広島市民病院の新築工事では3月の設計変更で外断熱工法を採用。規模は病室部分5階から10階まで1万6000m2。さらに同市では吉島福祉センターも外断熱に設計変更、市営住宅は無断熱から外断熱に改修、他に数件の建物も外断熱への変更を検討、今後も外断熱工法の採用を推進する方針。青森県では昨年12月に「環境調和設計指針」を策定し評価基準を定めたが外断熱を前提としたもの。北海道、札幌市をはじめ、石川県、栃木県などで公営住宅を中心に新築や改修に外断熱工法を採用、市町村レベルではさらに多くの自治体で採用実績がある。
まだ、新築や改修される建物の数からすると少数に過ぎないが、一旦採用を進めた自治体ではもはや後戻りすることはないだろう。着実に外断熱工法の普及が始まったと言ってよい。内断熱から外断熱への転換はまさにコペルニクス的転回であり、担当者も相当悩んだものと思われるが、発注側であれ、住み手側の立場であれ一度体験してしまうと満足度が高いと思われる(筆者が聞いた限りでは相当のものだ)。
次に記事が触れているのは、外断熱なら何でもいいのか、という問題。これについては筆者も同様の危機感を持っている。
外断熱のこれからの普及を確信して、雨後の筍のように各社が様々な工法でこの市場への参入を窺っている。同誌がまとめた工法・企業数はこれだけある。通気層工法11工法(10社),乾式密着工法12工法(8社)、湿式密着工法9工法(9社)。
各社が鎬を削って、適切な工法を提供することは外断熱工法の普及に望ましいと言えるが、何度もいうように外断熱は一見単純だが奥の深い技術である。材料・施工方法を間違えたらただの失敗では済まない。筆者から見ても首を傾げるような工法がこの中にもある。初めて外断熱を採用する設計者、発注者は特に外断熱の正しい知識を持つべきだろう。この知識には温度、物性、水蒸気、日照、日射、輻射、熱伝導など大部分の建築関係者が大学・専門学校で真剣に学ばなかった分野が多い。しかもこの知識は従来の「設備設計屋さん」ではなく、「意匠屋さん」が理解しなければいけないものだ。なぜなら、外断熱工法を採用した建物では建物の性能向上によって空調設備の比重が少なくなるからだ。
設計に当たっては、コストも当然の要素だが、理論的、実証的に納得できる工法を採用してもらいたい。緑雨の言葉をもじれば「外断熱の普及は失敗の普及なり」(教育の普及は浮薄の普及也)とならないことを望むこと切である。 |