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建て替え予備軍
2004.9.6
 標題は『週間ダイヤモンド』9月11日号が書いているマンションの建て替え候補のことである。「建て替え予備軍」とされる築30年以上のマンションが10年後には140万戸を超えるという。記事の調子は新しい法律の施行で、立て替えを支援する環境も整ったというトーンで、もっぱら業界サイドに立った記事である。別に偏っていることを非難しているわけではない。僅か30年前に建てられたコンクリートのマンションが、当たり前のように「建て替え予備軍」と規定され、それに何の疑念も挟まないことに驚くだけである。

 30年経っても、住んでいる人間は殆ど元の購入者だ。まさか、やっとローンを払い終わったと思っていたら、今度は目の黒いうちに建て替えが必要になるとは誰も考えてはいなかったに違いない。30代40代に購入したとしたら、本人はまだ60代、70代である。建て替えに要する費用は、東京都住宅供給公社が分譲した大田区の萩中住宅の例で平均1200万円。このほかに仮住居や引っ越しなどでさらに数百万円かかる。それでもこれは恵まれた例だ。退職者にこの金額を捻出しろというのは酷である。借り入れも儘なるまい。二世帯で住む広さはないから、息子・娘だって当てにはできない。

 人口は2年後には減少に転じる。世帯数は今しばらく伸びるだろうが、それも時間の問題だ。住宅数は今でも余っている、ただ、必要なところにないだけだ。今どうしても建て替えなければいけないというのならともかく、建て替え期限に余裕ができれば、年金生活者によけいな出費を強いることも少なくなる。そのためには10年後を、20年、30年後に延ばす政策こそ国民には必要だ。延命の技術がないわけではない。経済的に引き合わないことでもない。

 マンション改修の主な項目は設備(配管)の更新・防水・建物の美装だ。最後の項目にこれからはコンクリートを保護する機能を付加しなければいけない、これができれば、耐用年数は飛躍的に増加する。こうやって時間を稼げば、楽観的かも知れないが住宅事情はそのうち好転するはずだ。この特効薬が外断熱であることはいうまでもない。

 「マンション建替え円滑化法」と「改正区分所有法」でマンションの建て替えがやりやすくなった。スクラップアンドビルドを積極的に誘導する政策だが、ストックを適切に維持管理すること。住宅を長寿命化させることなしに、過去の「不良資産」の取り壊しばかり促進するというのでは、嘗て「内需拡大」策に自腹を切って協力したマイホーム取得者は黙っていないだろう。