| 医療保険とは、主に入院に伴う出費を保証するための掛け捨て保険のことである。日経新聞日曜版「マネー入門」で2005年6月19日より医療保険について3週連続して簡明に記述してあったので今回はこれを題材にしたい。まずはセンセーショナルとも言える結論が7月3日「医療保険は高い?安い?」。
例に取り上げているのが「無選択型」の5年保証商品。「無選択型」というのは、「誰でも入れます」で流行ったタイプで、健康状態の告知や医者の診断書が要らず、「55歳から80歳」や「50歳から75歳」と高齢者向けの商品のことである。
しかし、これがとんでもない商品だ。記事の例を続けると、60歳の男性が契約した場合、毎月の保険料は11,616円。5年間払い続けるので総額で約70万円。一方この商品の入院給付金は日額6,000円、通算日数の上限が120日。もし毎年のように何回も入院し、通算で上限一杯の120日間に達したとしても、受け取る保険金は72万円。70歳、80歳で契約した場合は、保険料の総額はそれぞれ93万円と108万円。いくら長期間入院しても入院費では元が取れない。手術の度毎に手術保証代がはいってようやく元が取れるが、そんなに手術ばかりするケースは多くなかろう。
医療保険に限らず、一般に金融商品といわれているものは、払うものもお金、受け取るものもお金だから、払った(投資した)金額に見合う見返りがあるかどうかが、商品の良し悪しと考えればよい。企業も利益を上げるために、客の満足に見合う手数料を受け取ることは当然としても、これでは一方的に「無知な」人間につけ込んで暴利を貪っているのではないかと疑わざるをえない。実際、この商品とは違うが、記事によると、保険料総額に占める手数料率がa社は41%、b社は56%にのぼるという。目一杯に入院をした人だけがようやく満額を取り戻すと言うことは、無理を承知で言うなら(性格も違うが)、100万円の定期預金をさせて元金を含め半分の50万円を手数料で取り上げるに等しい。
しかも、「健康状態の告知や医者の診断書が要らない」といっても、(1)契約前に発病した病気、(2)契約後90日以内に発病した病気、(3)契約後91日以降に発病したが、(1)か(2)と医学上重要な関係がある病気は入院保証金が支払われない。(3)の例とは(1)、(2)が高血圧症だった場合、その後心臓疾患、脳血管疾患、腎臓疾患に罹ってもだめと言うことだ。だめ押しとして、(4)7日以内に退院した場合も対象外。この網目をかいくぐって保険金を取り戻すことなどどうやってできるのだろう。
世上、保険会社は入院時の高額負担を喧伝しているが、健康保険を使えば医療費そのものはそれほど高くなく、高額の医療費に対しては通常以上の補填もある。差額ベッド代と言っても、保険金に比べれば驚くほどではない。また、自分の意志でそんなところにはいらない手はある。つまりは医療保険は支払いに見合わないまやかし商品に近いものだ。スポンサーの顔色ばかりを窺わず、読者に顔を向けた記事を書いた日経新聞に敬意を払いたい。 |