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東横イン
2006.2.2
 このところ、あっと驚くような事件ばかり起こって、今度も建築がらみなのでコラムでも取り上げないわけにはいかなくなった。東横インのあきれ返った振る舞いについては読者も食傷気味だろうから、今更世間の尻馬に乗って「悪事」を書き並べたところで仕方がない。ここでは外断熱ならではの話と結びつけて見解を述べることとする。

 建築基準法がザル法であることは今回の事件が起こるまでもなく世間のよく知るところであり、大は姉歯事件やヒューザー・東横イン、小は個人邸でのちょっとしたごまかしなど、違反建築でないものはほとんどない。東横インの社長が堂々と開陳するごとく、駐車違反やスピード違反を法律違反と感じていないのと同列である。

 ところがものには「ほど」というものがあり、5kmのスピードオーバーなら目こぼしの対象だが、50kmは取り締まって貰わねば端迷惑だ。東横インはその「ほど」が見えていない。積年に亘る違反の積み重ねから来る麻痺の結果なのだろう。

 外断熱工法はざるの目が粗い部分で、法さえ守ればいいというレベルでもない。可燃のおそれのある材料を使った外断熱工法はつい最近まで非常に厳しい規制がかけられていて、事実上施工ができない状況だった。これはこれで意味のあることだったが、省エネへの有効性と世界の潮流、仕様規定から性能規定への変化(外壁で言えば、使える材料を制限するのではなく、燃えないことを実証できる材料であれば許可するといった考え方)で湿式外断熱が施工可能になってきた経緯がある。

 建築確認に当たっては、基準法だけではなく消防法の規定(消防同意)という手続きもあり、建物火災への安全性を二重にチェックする仕組みになっている。消防同意事務審査要領に曰く。「消防同意は、建築物の出火防止、火災が発生した場合の延焼拡大防止、消火活動等の総合的な防災対策について審査すること」。しかし、湿式外断熱工法が厳密にこの規定で審査されているかというとやや疑問が残る。国内では外断熱工法に対し安全か危険か明確な基準がはっきりしていない。これは火災があって「良く持った」、あるいは「燃えてしまった」という事例が幸いにして無いことにもよる。あえて言えば「火災が起こりませぬように」と関係者全員が祈っているに等しい。

 海外はどうしているか。米国では実物大またはそれに準じた火災試験に合格したものだけが施工OKとなっていて、その他の国もそれに準じている。また今のところは我が国でもその合格品(工法)が主流を占めている。しかし国内では外断熱を対象とした同等の火災試験制度がないので、発注者や設計者はその合格品を使うことを強いられているわけではない。勢い安いものを使う傾向も生じる。非加熱血液製剤が米国で危険と烙印を押されたあとでは、国内にその規定が無くてもその事実を知りうる人間が使ったら犯罪として裁かれたことはまだ記憶に新しい。今や火災に耐えられる製品であるかそうでないかは広く建築技術者に提供されている情報である。

 今後は発注仕様書に外断熱は耐火災性能のあるもの(または米国ICBO試験合格品)などと指定しないで、火災の懼れのある外断熱工法を使った場合は、何れ厳しいお咎めが来ることも覚悟しなければならないだろう。

 読者はヒューザーの二の舞を演じぬためにもマンション購入の際には質問してみたら如何。「おたくの外断熱工法は火災に対する安全性をどうやって確かめていますか?」「我が社の製品はまだ火災に遭っていません」。また何をか況(いわん)や。