現在、マンションのストック数は全国で約400万戸、約1000万人が居住している。そのうち、築後30年を超えるマンションは17万戸、10年後には約100万戸と推定されており、マンションの修繕・建て替え手法の確立と円滑な運用は待ったなしの状況である。
国土交通省はこの問題へ対処するため、総合技術開発プロジェクト「マンション総プロ」(平成9年度〜13年度)で研究を行い、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」の制定(平成14年6月)及び同法第4条第1項の規定に基づく「マンションの建替えの円滑化等に関する基本的な方針」(平成14年12月)の策定を経て、今回の「マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアル」及び「マンションの建替えか修繕かを判断するためのマニュアル」(平成15年1月)を作成し、一連の作業を終えた格好となった。
このマニュアルはマンションの住民や管理組合が自ら修繕・建て替えの判断を行いやすいよう、定量的なチェックリストを備え、さらに建築の専門家にとっても一定レベルの調査・判断がしやすいよう項目を網羅している。その上、融資制度や、組合運営へのアドバイスなどもあり、至れり尽くせりのマニュアルに仕上げられている。一定水準の技術力やノウハウを持つ建築事務所や施工業者にとって、このマニュアルを元にリフォーム・建て替えビジネスに参入も可能で、老朽化マンションを舞台にした事業がにぎわうことだろう。市場の透明度と質の向上を図る意味でこのような資料の作成とインターネットでの公開は歓迎すべきことである。
部位の技術的な改修仕様についてまでは触れられていないが、機能回復だけでなく、機能改善に向けた改修方法として外断熱改修がこれを機に普及することが大いに期待されそうである。 |