コンクリート建物の外断熱改修について相談を受けていると、「どの程度の仕様で、どこまでやるべきか」に悩みが集中しています。一口でいえば「あまりお金をかけないで、それなりに効果がある外断熱改修はないか」、あるいは「予算の都合上改修工事の分割、ステップアップはできないか」というものです。セオリーに則った完璧な改修ができればそれに越したことはないのですが、やはり常に付きまとう予算のカベ。そこで、『外断熱改修の「松・竹・梅」』を考えてみることにしましょう。

(改修前)
上のような典型的なコンクリート住宅、公団型のアパート、公営住宅や社宅などを例にとることにします。
「松」の仕様は外壁全面にぐるりと断熱材を張り付け、サッシをペアガラス入りの樹脂サッシに変えるというもの。ここまでやれば本当に完璧です。旧東ドイツの住宅が次々と政府の施策で改修されているのはこの仕様だそうですし、寒冷地ではペアガラスが標準と考えられていますから、やはり「松」はあるべき姿と言えるでしょう。

(改修「松」仕様)
次は「竹」。
「松」の仕様からサッシのレベルアップを除いたもの。開口部のエネルギーロスは依然として残りますが、壁体内結露の発生が抑制されますから、これだけでも著しい効果が現れます。ここでご紹介している長野信濃大町の病院や、全国の公営住宅で現在行われている外断熱改修は「竹」が主流といってもいいようです。樹脂サッシへの変更が大変という向きにはガラスだけペアガラスに変えてはどうでしょうか。最近はサッシの交換なしでペアガラスになる真空ペアガラスもあります。

(改修「竹」仕様)
では「梅」はどうでしょうか。
「梅」の仕様を、現在結露やカビに悩まされている妻側住戸の壁面、つまり建物の東西面だけに限定した外断熱改修とします。これだと工事は開口部がほとんど無い平らな面ですから、足場、養生も楽だし、材料の歩留まりも高いので相当割安で工事ができそうです。大雑把な計算ですが、階段式二戸一形式、ワンフロアー4乃至6戸のアパートであれば、開口部を除く外壁コンクリートの約2割を断熱材で被せることになります。工事費は「竹」に比べても1割そこそこでできるかも知れません。このような改修は調べてみると過去には結構行われたようで、中間住戸は恩恵を受けませんが妻側住戸の結露抑制には相当の効果があったようです。断熱材をスチレンフォーム100mm程度とすれば妻住戸が中間住戸並みに結露被害が減少するのではないかと期待できます。

(改修「梅」仕様)
総合判断
外断熱改修はオール・オア・ナッシングで進めなくても、ステップアップで推進することも可能な方法のようです。梅・竹・松の順に年次計画を立てても、手戻りや重複部分が少ないので、早い時期に多くの人に外断熱の恩恵を知らせ、効果を上げることができるのではないでしょうか。そうして徐々に全国のコンクリート建物が外断熱建物に生まれ変わり、基本性能がきちんとした住宅になることを期待したいと思います。 |