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草津における外断熱改修効果

 群馬県草津はかなり寒い土地柄である。

 2004年のアメダスデータで草津の気温をみると、全国的に猛暑といわれた年にも拘わらず、8月の気温は15℃から25℃、お盆の頃には10度にも下がる。12月には最低気温が氷点下になり、師走下旬には1日中零度を超えない真冬日が続く。

 草津がどれくらい寒冷か、札幌の気温と比較してみた。下のグラフは2004年1年間の草津と札幌の気温を比較したものである(気象庁データ)。ほぼ1年を通じて、草津の気温は札幌の気温より低いことが多く、特に夏冬の最低気温は概して草津の方が低い。計算してみると、最高気温の年平均で約1度、最低気温の年平均で約2度も草津の方が寒い。草津は札幌よりかなり寒冷な土地なのである。これは意外だった。





クリックするとPDFがダウンロードできます)

 このような気候に建つ県営住宅で最近面白い「実験」が行われた。3階建て県営住宅の1棟で妻側1列だけを外断熱に改修して未改修住戸とその効果を比較してみたのだ。

 当フォーラムが入手したデータは、正規のものではなく、改修された住戸とそうでない住戸の住民の方に、工事を行った会社がお願いして、参考までに室内の気温を記録してもらったものだ。結果的にほぼ同一条件にある内断熱住戸と外断熱住戸の比較となった。
では、順を追って説明しよう。

 建物は築24年、群馬県住宅供給公社の県営住宅団地の1棟。いわゆる二戸一、ワンフロアー4戸、3階建て計12戸の鉄筋コンクリート造アパートである。団地内の配置の関係でこの建物はベランダが南面せず東に45度振れている。構造はメゾネット(一つの住戸に段差がある)形式で傾斜屋根だ。

 一部の外壁に外断熱改修が施工されたのは2004年6月。75mm厚のEPS(発泡ポリスチレンボード)を外壁に貼り付け、グラスファイバーメッシュで押さえて、アクリル系仕上げ材で薄塗り塗装をしたものである(「ドライビットアウサレーション」)。改修した範囲は東妻側住戸一列分の3戸。

 気温を測定して頂いた住戸は、改修された住戸のうちの2階、3DK(約70m2)のお宅と、未改修住戸である2列目3階、ほぼ同規模のやはり3DKのお宅である。ともに60代のご夫婦二人住まい。居間に寒暖計を置き、朝・昼・夜の気温を記録して頂いた。

 改修された住戸は2階にあるにも拘わらず、通常の南北面と東妻面のほか、隣接する住戸との間にも一部に1階通路の吹き抜け部があって外気に面しており、階段室と四畳半1室の戸境壁以外、ほぼ全周に近い範囲が外気に接する壁となっている。
一方、外断熱に改修していない3階住戸は外気に接する外壁は南北面のみであるが、最上階なので屋根面の影響を受ける。

 これらをグラフに表示した図を見て頂きたい。緑が外気温、赤が外断熱(改修済み)、青が内断熱(未改修)の室温である。
(クリックするとPDFがダウンロードできます)

 外断熱改修直後の8月には、早くも顕著な違いが現れていることが一見してわかるだろう。内断熱住戸は8月9月を通じて30℃〜28℃前後で推移しているのに対し、外断熱住戸は24℃前後と涼しい。これでも外気温と比べれば充分に「暑い」のだが。また、外断熱住戸は温度の変動が少なく均一に近い。

 次に秋10月を見ると、外気温が月の始めと終わりで10℃近く下がっていく時季に当っており、内断熱住戸はそれに追随するかのように、月初めから月末にかけてほぼ10℃下がっている。一方外断熱住戸は気温の下がりは3度くらいで、このときに内断熱住戸と外断熱住戸で室温が逆転する。

 11月初旬に一時暖かい日が続いて、内断熱住戸は敏感に反応しているが、外断熱住戸はそれほどの変化がない。11月下旬にはどちらの住戸も暖房を使用しており、躯体の「基礎温度」が高温な外断熱住戸は20℃を中心に上下3℃くらいの温度を維持している。一方、内断熱住戸は13℃あたりが中心値となっていて快適な室温ではない。寒暖計の置き方、暖房の仕方などの違いで必ずしも正確な状況を反映していない可能性があるが、外断熱改修した住戸の快適さと省エネ貢献度が実感としてわかる。

 12月から2月にかけては終日零度以下という真冬日が続く。どちらも昼は暖房をつけている。外断熱住戸は室温の最低気温が15℃、最高気温が24℃となっており、夜間もそれほど低下していないのではないかと思われる。内断熱住戸は最低10℃、最高16℃程度で比較的低温である。最適温度が21〜23℃くらいとすると、内断熱住戸では暖房不足であり、一般的には寒いと感じることだろう。

 外断熱住戸の居住者の感想として、12月に「結露がない。朝の室温が高く、温度変化がない。」という声が聞かれた。この住戸がストーブの代わりに、温度をコントロールし易いエアコンなどの暖房機を使えば、間欠運転で1日中均一な室温を維持できるのではないかとも思われる。

(注)執筆後記録データを追加しグラフを更新しました。(2005.8.21)