日本火災学会発行の学会誌「火災」2005年6月号(Vol.55 No.3)に「外断熱工法の防火性能と米国の防火試験について」という論文が掲載されている。発表者は、当フラッシュ「東京消防庁の研究発表」でもご紹介した東京消防庁の白澤氏と東京大学大学院の野口助教授である。
大筋は前回でご紹介した内容と同じなのでそちらをお読み頂きたい。前回は東京消防庁の内部研究会という場での発表であったが、今回は日本火災学会誌での発表であり、国内関係者に対する大きな問題提起である。
その問題とは何か。結論であるその「まとめ」を引用させて頂こう。
「耐火建築物の外側に有機系断熱材を施工することが法改正により可能となり、また高い断熱効果と施工性により需要が伸びつつある。有機系発泡断熱材は、種別・組成・発泡剤・難燃剤等で燃焼性が異なる。一方で、防火的な工法を用いることはコスト的な負担となる。
米国では規制を初期から導入したことにより社会に受け入れられた。その結果、個々の燃焼特性を示さなくても安全性を評価出来るようになったと思われる。現在の日本の状況は耐火性能試験による判断のみとなり、図1で示された延焼性や脱落防止が法的な必要条件になっておらず、施主・メーカー・施工会社側による個々の建物の安全性については設計・施工・監理に対する自己責務によっている。」
すなわち、現在の有機系発泡材を使った外断熱工法は、火災安全性の見地からの規制がなく、発注者・施工者・設計者の自己責任となっている状況を指摘している。
危ういところはそのだれにも「責任」の自覚が乏しく、相手に寄りかかっている状況ではないだろうか。米国では早くから厳しい火災試験を規定して安全性を確認し、この試験に合格したものだけが施工出来る体制を整えている。日本には同等の試験が行える組織はないが、米国の試験に合格したものを日本でも再認証を受ける体制が整っており、今のところドライビット社の製品だけが国内認証を受け米国同様の形態で施工されている。安全性をおろそかにできない設計者にとって選択肢が限られているということだ。
現在国内では、安全性に疑問を呈さざるをえない、ないしは安全性を証明出来そうもない工法が乱立している。一刻も早く、有機系外断熱工法を、安全は当然のものとして、様々な工法から気軽に選択出来るよう、安全規制体制を確立するべきではないだろうか。