Vol.7
じゅんは何をお願いしたの?
すてきなマンションが見つかりますようにって。
まぁ、神頼みじゃだめよ。 私はいい建築家とめぐり逢えるようお願いしたわ。
同じことじゃないのー? どっちにしろ100円のお賽銭でご利益を期待するのは虫が良すぎるかな。
え? じゅんは100円も入れたの? お賽銭はゴエンが十分あるよう50円と決まってるのよ。
なるほど、さすがゆり!そういえば「めでタイ」とか「よろコブ」なんてシャレは日本の伝統文化かも知れないわね。
そうそう、じゅんもやっと私の大和撫子ぶりを理解した?
そうつながるのかなぁ…? あ、あの辺りにあるのが蔵造りの家だわ。江戸の街並みを保存してちょっとした観光名所になってるのね。 白壁と黒瓦の美しさには若い人たちもひかれるのかしら。 結構にぎわってるじゃない。
土壁の燃えにくさと断熱性を利用した日本の耐火建築というわけね。 江戸時代には北の守りとしてずいぶん文化も栄えたらしいけれど明治の大火でほとんどが焼失したから今残っているのはその後に建てられたものでしょ。 100年なんてそれほど昔じゃないのに日本の建築もずいぶん変わっちゃったわね。
施工や修理に時間と手間がかかりすぎて時代に合わなくなってしまったのね。 100年後には全く新しい建材がコンクリートを過去の遺物にしているかもよ。
それでも質のいい家を造っておけば観光名所として残るわよ、きっと。(笑) コンクリートの建物は鉄筋がきちんとコンクリートで包まれていて酸化することがなければ半永久的に持つらしいわ。
じゃあ、今壊されてるほとんどのビルは失敗作ということ?
配合する砂やセメントの種類と割合でコンクリートの質や強度が決まるから設計者はもちろん、施工業者もかなりの知識と技術が必要なんですって。そこで間違えたり手抜きをすると欠陥建物になっちゃうらしいわ。そして一度固まったコンクリートを直すには壊すしかないから、きちんとチェックをしてくれる建築家と信頼できる施工業者に頼むことが大切なのよ。
それにしても自然素材を使ってこんなにも機能的で美しい家を造るセンスをもっている日本人ですもの、大震災や戦争がなければ、もう少しゆっくり技術と感性を合わせた建物を探る時間があったかもしれないのに…。 急いで粗悪品をたくさん造ったばかりに今度は壊すエネルギーを使わなくちゃならないのね。産業廃棄物の6割は建築物の廃材だっていうじゃない。
ほんと、昔に比べると残したい建築物が今はどのくらいあるかしら。
ニューヨークみたいに高層ビルがシンボルというのでもなければ、ヨーロッパのように昔ながらの街並みを頑固に守ることもできず、日本の街ってなんだか中途半端よね。
ところでその後、建築家のほうは見つかった?
難航中。 最初に近所の工務店に相談に行ったら、日本の風土には木造家屋が一番、木造の外断熱にしたら?と言い出すの。 外断熱というのはあくまでコンクリート住宅についての言葉で、木造では外張り断熱っていうのよね。 私の方が良く知ってるんじゃお話にならないからすぐ退散。
| 《ゆりのレポート》 |
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木造無断熱・低断熱
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木造外断熱(外張り断熱)
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コンクリート外断熱
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室内の暖かさが断熱材で保護されていない。
冷暖房をしてもロスが多く、夏は暑く、冬は寒い住宅となる。
全館暖冷房は不可能。
室内でも寒暖の差が大きい。 |
室内は断熱材で保護されている。が、、
蓄熱体がないので昼間の熱を夜まで蓄えられない。
換気で空気が入れ替わると室温の変化も大きい。
暖房なしでは明け方は温度が下がる。 |
室内にある蓄熱体(コンクリート)の熱を断熱材が保護している。
昼間の熱を夜まで蓄えることができる。
冷暖房を切っても室内がすぐに暑くなったり寒くなったりしない。
一日中室温が殆ど変わらない。 |
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木造の外張り断熱でも結露は防げるし、高気密にすれば多少の省エネにはなるけれど、昼間の熱を夜利用するとか、暖房を切った後も長時間暖かいというようなエネルギーの蓄積は無理なのね。
今は雑誌に出てた建築家に連絡をとってるの。 外断熱に興味をもってずいぶん研究しているようで期待したけど、インテリアにとてもこだわりがあってモダンだけど使いにくい家にされてしまいそうでちょっと不安。 子供や年寄りがいるからとにかく安全でなくては困るし、極力自然素材を使いたいという以外インテリアに凝るつもりはあまりないのよね。 外断熱の家というのは確かにまだ珍しいかもしれないけれど、私達は別に奇抜なものを望んでるわけじゃないの。でもとりあえず具体案を出してもらってるのよ。 ほかにもあたってみるけど。
へぇ、ゆりの厳しいお眼鏡にかなった建築家が現れたら私も会ってみたいわ。
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こうなったら借金をしても子供や孫に自慢できるような家を建てたいわ。 変えるべきものと守るべきものを見極めて大切なことは伝えていかなくちゃね。 今日は日本文化に触れたから温故知新というところで、懐石料理でもいただきましょうか。
わかった!懐を温めた懐石は石の蓄熱性を利用してるって言いたいんでしょ。
じゅんに読まれるなんて、ワーショック。
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それって…? こういうゆりを変えるべきか守るべきか私もわからないわ。(笑)
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《ひと言講義 蓄熱体》
私たちが使う「蓄熱体」は熱容量の大きい水やコンクリートのような物質を指し、暖まりにくく冷めにくい性質を持っています。
熱容量の小さい建物は、せっかく昼間取り込んだ太陽の熱を十分に蓄えることができず逃がしてしまうので夜間まで暖かさが持続しません。
この点で「外断熱」はコンクリートという蓄熱体を利用する工法を指し、「内断熱」は蓄熱体を利用しにくい工法、または利用できる熱容量の小さな工法といえます。
木造とコンクリートの建物を比べると、木造の熱容量はコンクリートの約100分の1くらいなので、「木造外断熱」は「コンクリート外断熱」とは大変意味が違ったものとなります。省エネ法の基準でもこの点を考慮して木造の断熱工法を、「充填断熱工法」と「外張り断熱工法」に分類していて、「外断熱」という用語は木造には使われていません。
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< to be continued >